片手でクッキングユニバーサルデザインキッチンツール特集第2回新潟県燕市のものづくり精神から生まれたライトスプーン(株)青芳 片手でクッキングユニバーサルデザインキッチンツール特集第2回新潟県燕市のものづくり精神から生まれたライトスプーン(株)青芳

人にやさしい
ユニバーサルデザインの
キッチンツール

「片手でも料理ができたらいいのに」というユーザーの思い。「いろいろな人に使っていただきたい」というメーカーの願い。ふたつの思いを編集部がつなぎます。「どんなときでも楽しく料理して元気になろう!」をテーマに、誰もが使いやすいユニバーサルデザインのキッチンツールをご紹介していきます。
今回は、楽しく料理したら楽しく食べよう!をかなえる、食事のときに便利なスプーンの登場です。

監修の社会福祉士の村井エリ先生からのメッセージもあります。
もっと料理を楽しむために!ぜひご参考に。

“軽くて使いやすいスプーンが欲しい“
の声に応えた
青芳の「ライトスプーン」

シニアの方や手に障がいのある方が食事のときによく使うスプーン。
便利ではあるけれど、実は日本人の食文化や体型に合っていないため、使いづらい部分も多いということをご存知でしょうか。

これらの声に応えるため、誰にでも使いやすい「ライトスプーン」を開発したのは金属加工の高い技術で知られる新潟県燕市のメーカー、(株)青芳です。輸出用のカトラリーをはじめ生活雑貨を手がける同社がその技術を生かして福祉用品「ウィルアシスト」シリーズを展開しています。医療・福祉の専門家たちと協同して開発されたスプーンの魅力をみていきましょう。

一見、普通のスプーンですがいろんなヒミツが詰まっています。

軽くて口に運びやすい形状を追求。「もなか構造」とは?

ライトスプーンという名のとおり、特徴はその軽さにあります。

普通のカレースプーンの重さ50gに対して、ライトスプーンは35gしかありません。
「医療や介護の現場では、スプーンやフォークが重くて疲れてしまう人も多いのです。さらにひと口量が多いので、食べこぼしやお口の周りを汚してしまいます」。
というのは開発に携わった(株)青芳 専務取締役の秋元幸平さん。場合によっては誤嚥の可能性もあるのだとか。

ライトスプーンのヘッドの部分はかなり小さめ。
日本人の口角の寸法は平均50mm。その3分の2が無理なく口を開けられるサイズということで、ライトスプーンのヘッド部分は33mm程度の小さめのサイズ。ひと口の量も多すぎず、食べこぼしが防げます。ヘッド部の円形にもこだわり、手首の動きが悪い人でも、確実に口に食べ物が運べるように考えられています。

そして、なんといっても軽さのヒミツ!持ち手内部の構造に注目です。

ライトスプーンの持ち手の断面図。握力が弱い方でも持ちやすい楕円形。中が空洞になっているのでとても軽いのです。

業界では「もなか構造」というそうです。たしかに、もなかのように中が空洞ですね。

ふっくらした見た目は高級感がありながらも、持ってみると実に軽く、さらに、指への接触面積が大きいため、安定して持つことができます。

一般の高級スプーンでは、あえてこのもなか構造におもりを入れてずっしり感を出すそうですが、それでは指先に力が入れづらい人は疲れてしまう。太めで持ちやすいけれど軽いスプーンをどうやって作るか ―― 。この課題に「おもりを入れないもなか構造」という逆転の発想で、できあがったのがライトスプーンなのです。

日本のものづくり精神が開発した日本人のためのカトラリー

スプーンはもともとヨーロッパ発祥のもの。日本人の体型や食文化から考えられた、日本人のためのスプーンづくりは、どのようなきっかけで起こったのでしょう。

「日本中でスプーンを製造しているのは新潟県燕市だけ。スプーンの使い方に困っているシニアの方や障がいのある方たちの声を聞き、使いやすい道具を私たちが作らないと誰も開発できないのでは?と考えました」、と秋元さんは言います。

メーカーの独りよがりにならないよう、日本歯科大学の菊谷武教授や新潟大学の林豊彦教授、つばめ福祉会の専門家などの協力を得て、エビデンスに基づいた商品開発が行われたそうです。
※現在は中国で生産され、日本で検品が行われています。

使用者の商品レビューには、「持ったときの重さのバランスがよい」、「普通のスプーンと見た目は大差なく、障がいがあってもなくても使いやすいユニバーサルデザイン」といった使いやすさに評価が集まる一方、「柄とスプーン先のつなぎ目がないので食べ物が詰まったり不潔にならず、つるっとしていて洗いやすい」というお手入れのしやすさを推す声も。

一体型の成型は見た目にスタイリッシュさもあるうえ、洗いやすくて一石二鳥。丈夫なステンレス製なので、普段どおりに洗っても大丈夫。食器洗い乾燥機も使えます。

お料理を楽しんだら、できあがった料理をぜひおいしく食べて欲しい。
カトラリーにもこだわってみてはいかがでしょうか?

一級建築士事務所all代表
(一級建築士 × 社会福祉士)
村井 エリ

おいしくつくって
食べることの楽しみを

食は命の源です。「片手でクッキング」は、片麻痺の方だけでなく、けがで片手しか使えない時なども料理の楽しさを教えてくれます。そこで、使いやすいだけでなく、デザインがよく使っていて心地よいモノを選びました。どんな時でもおいしい料理をつくって食べる楽しみが続くことを願っています。

Profile

祖母の在宅介護を機に、いつまでも心豊かに暮らせる住まいと暮らしづくりに注力している。2017年以降、東京ガス主催のイベントにおいて、『人にやさしいプロダクト』、『人にやさしいキッチングッズ』の展示などを監修。