片手でクッキングユニバーサルデザインキッチンツール特集第2回新潟県燕市のものづくり精神から生まれたライトスプーン(株)青芳 片手でクッキングユニバーサルデザインキッチンツール特集第2回新潟県燕市のものづくり精神から生まれたライトスプーン(株)青芳

みんなにやさしい
ユニバーサルデザインの
キッチンツール

「片手でも料理ができたらいいのに」というユーザーの思い。「いろいろな人に使っていただきたい」というメーカーの願い。ふたつの思いを編集部がつなぎます。「どんなときでも楽しく料理して元気になろう!」をテーマに、誰もが使いやすいユニバーサルデザインのキッチンツールをご紹介していきます。
今回は、お茶の時間が楽しくなる安全湯のみ茶碗の登場 です 。

監修の社会福祉士の村井エリ先生からのメッセージもあります。
もっと料理を楽しむために!ぜひご参考に。

持ちやすくてむせを防ぐ 青芳 ほのぼの湯のみ

温かいお茶でホッと一息。寒い日には特別な時間です。
ただ、湯のみでお茶を飲むとき、湯のみが熱くて持てなかったり、むせてしまったりと大変だったことはないでしょうか。
今回ご紹介する「ほのぼの湯のみ」は、 第2回で紹介した「ライトスプーン」など、人にやさしい商品の開発に努める(株)青芳のもの。今回も期待が持てそうです。

飲み物を飲んだ時の“むせ”を防ぐ

高齢になると飲み込む力が低下し、水を飲むとむせてしまうことも少なくありません。むせは、水や食べ物が誤って気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」を防ぐ行動ですが、誤嚥から肺炎になる可能性もあり、水分を摂るのも気をつけなくてはなりません。

誤嚥が起こるのは、飲み物を飲み込むためにあご上げ姿勢をとったときに多いとされます。あごを上げなくても楽な姿勢で飲める湯のみにするためにはどうすればよいか。何度もモニターテストを行い、湯のみ茶碗の中にもう一つ、湯のみが入ったような二重構造にたどり着きました。

飲み物を飲んだ時の“むせ”を防ぐ

のんびりとお茶を楽しめる構造のヒミツ

二重構造になることで、中が空洞となり軽量化。熱も伝わりにくく、持ちやすいという効果が生まれました。保温性も高まり、温かいお茶をゆっくりと楽しめます。

のんびりとお茶を楽しめる構造のヒミツ

ほのぼの湯のみの、ちょうど手で握る部分の直径は 60 ミリ。日本人女性の手のひらの平均値から導き出したちょうどよいサイズなので手の小さい方や、握る力が少ない方でもしっかり掴みやすい形です。

お茶の時間が楽しくなる!ほっこりできるデザイン

さて、お茶をするのが楽しくなるには、見た目も大事です。ほのぼの湯のみはひとつひとつが手描きの優しい柄の有田焼。

福祉食器っぽくないデザインで、誰でも使えるところが嬉しいですね。二重構造にするには大変高度な技術が必要だそうで、製造している窯元は、『この技術はうちでしかできない!』と豪語されているそうです。実際、発売以来20年経つものの陶器類の類似品は出てきていないということが、その技術力の高さを物語っていますね。

お茶の時間が楽しくなる!ほっこりできるデザイン

開発関係者に聞く ここもおすすめポイント!

誰でも使えて、実は考え抜かれた安全性

「この商品は主に、飲み込み(嚥下・えんげ)がしづらいシニアの方や、腕や手首を動かしにくい方たちに飲みやすいコップを提供したいという思いから作られています。嚥下障害に詳しい日本歯科大学の菊谷武教授の発案でデザインが試行錯誤されたという、たしかなエビデンスに基づいた商品です」と語るのは(株)青芳・専務取締役の秋元幸平さん。

POINT

水分摂取量に制限のある方もみんなと同じようにお茶の時間を楽しめる

「ほのぼの湯のみの容量は110mlと普通の湯のみ(180ml)より少なめですが、腎臓機能が低下した人は水分摂取量の規制があって100ml程度です。普通の湯のみだと『えっ、これだけしか飲めないの!?』と疎外感を味わうことも多いそうですが、この湯のみを使うことでほかの人と変わらず満足感が持てるので、お茶の時間を楽しめるというお声を頂いています」(秋元さん)。と、透析患者さんの湯のみとしても重宝されているのだとか。

POINT

目の不自由な方にも安全

「目の不自由な方は机に置かれた熱い湯のみに少し触れただけでも危険です。慌ててしまい、湯のみを倒して中身がこぼれるとやけどにもつながりますが、この湯のみだと『アチっ』となることはありません」(秋元さん)。

いろんな方が快適に安全に使えるので、みんなが集まって楽しくお茶ができる。ほのぼの湯のみは、そんなほのぼのとした時間を与えてくれる湯のみなのです。

一級建築士事務所all代表
(一級建築士 × 社会福祉士)
村井 エリ

おいしくつくって
食べることの楽しみを

食は命の源です。「片手でクッキング」は、片麻痺の方だけでなく、けがで片手しか使えない時なども料理の楽しさを教えてくれます。そこで、使いやすいだけでなく、デザインがよく使っていて心地よいモノを選びました。どんな時でもおいしい料理をつくって食べる楽しみが続くことを願っています。

Profile

祖母の在宅介護を機に、いつまでも心豊かに暮らせる住まいと暮らしづくりに注力している。2017年以降、東京ガス主催のイベントにおいて、『人にやさしいプロダクト』、『人にやさしいキッチングッズ』の展示などを監修。